症例のご紹介

2013年1月 6日 日曜日

膀胱腫瘍の症例

少し前の症例ですが、
犬(ビーグル)の膀胱腫瘍(移行上皮癌)の外科手術症例をご紹介します。


膀胱腫瘍は犬では稀にみられる悪性腫瘍で、頻尿や血尿などを主訴に来院される事が多いのですが、診断時には進行している事も多い厄介なものです。
外科治療のみでは根治できない事も多いので、放射線療法や化学療法(抗がん剤)なども併用していきます。
診断は臨床上に加え、尿検査、超音波検査、細胞診検査、病理組織検査などで行なっていきます。



右図が超音波検査で確認した膀胱粘膜に隆起した腫瘍で、下図が手術中に膀胱を切開して粘膜面を確認したところです。
 



外科手術によって切除した腫瘍の病理組織検査結果が悪性だったため、術後からカルボプラチンを用いた抗がん剤治療を開始しました。

その後、局所再発はしてしまいましたが、比較的長期にわたって良好な生活を過ごす事ができました。

完治は難しい病気ですが、できるだけの治療はしてあげたいですよね。
頻尿や血尿の原因の多くは膀胱炎や膀胱結石によるものですが、膀胱腫瘍にも注意が必要です!

定期的な尿検査や超音波検査を含むような健康診断で早期診断に努めてもらいたいと思います。


投稿者 西京極どうぶつ病院