症例のご紹介

2013年2月27日 水曜日

犬の子宮蓄膿症

先日、子宮蓄膿症の犬が来院しました。
数日前から、異常にお水を飲むようになり、前日から外陰部よりオリモノが出ているという主訴で、血液検査にて白血球やCRPというような炎症マーカーの上昇、超音波検査にて子宮の重度の拡張が見られました。
全身状態改善のために十分な補液(静脈点滴)を実施し、卵巣子宮摘出手術を行ないました。写真のように子宮は全体が腫脹し、一部で炎症によって大網と癒着しているところもありました。


子宮蓄膿症は中高齢の犬で発生しやすく、出産経験のない未避妊雌で多い疾患です。診断が遅れると腹膜炎や敗血症などによって亡くなるケースもあるため、早期診断・早期治療が大事です。
また、この病気を予防するためには避妊手術で卵巣・子宮を摘出する事が有効です。。。


また、この病気は犬だけでなく、猫やウサギ、ハムスターなどでも比較的よく見られます。ハムスターの避妊手術はあまり勧めていませんが、猫やウサギでは病気になる前の手術をご検討いただければと思います。

投稿者 西京極どうぶつ病院 | 記事URL

2013年2月22日 金曜日

猫の避妊手術(まちねこ事業にて)

今日のお昼は京都市と京都市獣医師会で行なっている「まちねこ事業」での手術当番でした。
まちねこ事業というのは、まちねこ=地域猫(昔は野良猫と言われていた?)の繁殖を防ぐ事により、殺処分しなければならない動物の数を少しでも減らそうという試みです。この効果も少しずつではじめたのか、殺処分数は少しずつ減っているようです。。。地道な努力かと思いますが、不幸な動物を減らすためにはこういう一歩が大事だろうと思っています!!!

今回は3匹のメス猫の避妊手術だったのですが、そのうち2匹は妊娠中でした。
「今回避妊手術(堕胎)をしていなければ、数カ月後にはまた子猫の数が増加し、その中のメス猫が1年以内にはさらに多くの子猫を生んでいく...」って思うと、今日の手術の価値が今後の殺処分数の減少の一助になったのではないかと思えます。

慣れない環境で、十分な器具・機材もない中での手術なので、院内での手術以上に大変なお仕事ですが、社会貢献の一環として自分にできる事を少しずつでも続けていきたいと思います。

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2013年2月15日 金曜日

精巣腫瘍による脱毛

先日行なった精巣腫瘍の手術について、報告致します。
精巣腫瘍は去勢手術をしていない中高齢の雄犬でしばしば見られる腫瘍で、精巣下降していない場合(潜在精巣、停留精巣、陰睾)では10〜20倍近く発生しやすいと言われています。
予防には腫瘍化する前に去勢手術を行なうという事しかありません。

セルトリ細胞腫という精巣腫瘍の場合、女性ホルモンであるエストロジェンを過剰に分泌する事が多く、骨髄抑制による貧血や雌性化乳房、痒みをあまり伴わない脱毛などの症状が見られます。
セミノーマ(精細胞腫)は転移する可能もある悪性腫瘍で、摘出して半年以上経ってから転移巣が見つかる事もあります。
ライディッヒ間細胞腫は比較的良性な腫瘍です。

今回のケースは脱毛や元気・食欲低下を主訴に来院。腫大した精巣は反対側の倍以上に膨らみ、触ると少し痛がる症状もありました。高齢のため心機能も少し低下していましたが、術前検査の結果、手術には十分耐えられる状況と判断しました。

写真は摘出した左右精巣で、
腫瘍化した精巣は総鞘膜に包まれたままの状況で摘出しています。



高齢になって、このような病気でリスクのある手術をするよりも、若くて健康なうちに去勢手術を行なう事をお勧めします。

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2013年2月 6日 水曜日

膀胱結石による尿道閉塞。

少し前の症例ですが、
ミニチュア・シュナウザー 去勢雄 11歳 シュウ酸カルシウムによる膀胱結石が尿道につまり、頻尿や血尿が起こったために膀胱切開にて摘出手術を行ないました。
術後経過は順調で、今はu/dというヒルズの療法食をあげてもらいつつ、しっかりと水分をとってもらうようにしています。シュウ酸カルシウム結石はストルバイト結石と違って食事療法では溶かす事ができません。再発したらまた手術が必要になってしまうため、注意が必要です!!!

結石自体の大きさは5mm程度ですが、雄犬の尿道では詰まってしまう事があります。
詰まってしまった場合(尿道狭窄・閉塞)、おしっこを踏ん張っても少しずつしか出なかったり、ひどい場合には全くでなくなって急性腎不全を起こす事もあるので要注意です!!!

雄犬に比べて雌犬では尿道が太くて短いため、尿石症になっても閉塞は起こりにくくなっていますが、膀胱炎の症状が起こる事は多いです。


同様の病態は猫やウサギ、フェレットなどでも起こる事があるので要注意です。
特に、雄猫のストルバイト尿石による尿道閉塞は本当に多い疾患です。定期的な尿検査や、きちんとした食事療法などで予防する事ができる病気なので、気になる事があるようでしたらご相談下さい。




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