症例のご紹介
2013年10月27日 日曜日
両側潜在精巣(腹腔内と鼠径部)と精巣腫瘍
先日行った手術症例です。
右側鼠径部潜在精巣(陰睾)の腫大で来院されました。
反対の精巣もないのでお聞きしたところ、手術歴はないとの事。エコー検査で確認してみたら、膀胱の左側に精巣らしき腫瘤を確認しました。
歯科処置と同時に左右潜在精巣の摘出を行いました。
腫瘍化した右精巣を摘出する切開創から腹腔内にアプローチし、左側の腹腔内精巣も摘出。大きい方が右精巣、小さい方が腹腔内にあった左精巣です。術後経過も問題ありませんでした。
今回のケースでは、鼠径部潜在精巣の方が腫瘍化したので早期に気付けましたが、腹腔内潜在精巣は腫瘍化しても外から触れないため、気付くのが遅くなってしまいます。両側潜在精巣だと精子を作る機能もほとんどないため、できれば若いうちに手術する事をお勧め致します。
潜在精巣は陰嚢にきちんと精巣下降した精巣よりも腫瘍化するリスクが高いため(10〜20倍)、片側のみの潜在精巣でも早期の去勢手術をお勧めしています。
右側鼠径部潜在精巣(陰睾)の腫大で来院されました。
反対の精巣もないのでお聞きしたところ、手術歴はないとの事。エコー検査で確認してみたら、膀胱の左側に精巣らしき腫瘤を確認しました。
歯科処置と同時に左右潜在精巣の摘出を行いました。
腫瘍化した右精巣を摘出する切開創から腹腔内にアプローチし、左側の腹腔内精巣も摘出。大きい方が右精巣、小さい方が腹腔内にあった左精巣です。術後経過も問題ありませんでした。
今回のケースでは、鼠径部潜在精巣の方が腫瘍化したので早期に気付けましたが、腹腔内潜在精巣は腫瘍化しても外から触れないため、気付くのが遅くなってしまいます。両側潜在精巣だと精子を作る機能もほとんどないため、できれば若いうちに手術する事をお勧め致します。
潜在精巣は陰嚢にきちんと精巣下降した精巣よりも腫瘍化するリスクが高いため(10〜20倍)、片側のみの潜在精巣でも早期の去勢手術をお勧めしています。
投稿者 西京極どうぶつ病院 | 記事URL
2013年10月24日 木曜日
ハムスターの腫瘍の手術
ブログの更新がかなり久々になってしまいました。。。
先日、ハムスターの左腋下部にできた一部自壊した巨大な腫瘤の切除手術を行いました。
左前肢を巻き込むような形にまで大きくなっていましたが、腕の血管や神経からは何とか分離する事ができ、肉眼的にはきれいに取り切れたかと思います。
術後経過は非常に良好で、麻酔からもしっかりと覚醒し、キズをあまり気にする様子もありませんでした。
あとは病理組織検査結果次第ですが、悪いものではない事を祈るばかりです...。
ちなみに、ここまで小さい動物に使える気管チューブはないため、マスクでのガス麻酔の吸入となります。呼吸は止まらないけど痛みを感じないギリギリの麻酔管理が重要になってきます。
先日、ハムスターの左腋下部にできた一部自壊した巨大な腫瘤の切除手術を行いました。
左前肢を巻き込むような形にまで大きくなっていましたが、腕の血管や神経からは何とか分離する事ができ、肉眼的にはきれいに取り切れたかと思います。
術後経過は非常に良好で、麻酔からもしっかりと覚醒し、キズをあまり気にする様子もありませんでした。
あとは病理組織検査結果次第ですが、悪いものではない事を祈るばかりです...。
ちなみに、ここまで小さい動物に使える気管チューブはないため、マスクでのガス麻酔の吸入となります。呼吸は止まらないけど痛みを感じないギリギリの麻酔管理が重要になってきます。
投稿者 西京極どうぶつ病院 | 記事URL
2013年10月 4日 金曜日
猫の乳腺腫瘍
先日、猫の乳腺腫瘍の摘出手術を行いました。
まだかなり小さいしこりの状況で発見されたため、何とか取りきれていて欲しいと思いますが、猫の乳腺腫瘍は乳腺癌が圧倒的に多いため注意が必要です!
手術では、所属リンパ節である鼠径リンパ節も同時に廓清し、リンパ節転移の有無も病理組織検査でしっかり確認してもらいます。反対側の乳腺組織は以前摘出しているのでもうすでにありません。
先週末に参加したJBVP年次大会の時の講演において、犬の乳腺腫瘍の摘出時に同時に避妊手術を行うべきかどうかという事についてのレクチャーがありました。最新の文献では、避妊手術をした方が乳腺腫瘍の再発率は低かったという結論になっているとの事で、予後の悪い乳腺腫瘍でなければ避妊手術を同時に行う意義があるだろうとの話でした。
また、乳腺腫瘍の手術時に避妊手術を行わなかったケースで術後に子宮蓄膿症などの病気になる確率は10%弱という事でした。この数字を高いととるか低いととるかは考え方かもしれませんが、避妊手術(卵巣子宮全摘出術)がそれ程難しい手術でない事を考えると同時にする意義は十分あると思えました。
子供を作る予定のない犬・猫・ウサギさん達は不妊手術をするのが一番だと考えますが、もし手術していない場合でも、卵巣子宮疾患や乳腺腫瘍などになった場合は早急な不妊手術が大事なのではないかと思います。
まだかなり小さいしこりの状況で発見されたため、何とか取りきれていて欲しいと思いますが、猫の乳腺腫瘍は乳腺癌が圧倒的に多いため注意が必要です!
手術では、所属リンパ節である鼠径リンパ節も同時に廓清し、リンパ節転移の有無も病理組織検査でしっかり確認してもらいます。反対側の乳腺組織は以前摘出しているのでもうすでにありません。
先週末に参加したJBVP年次大会の時の講演において、犬の乳腺腫瘍の摘出時に同時に避妊手術を行うべきかどうかという事についてのレクチャーがありました。最新の文献では、避妊手術をした方が乳腺腫瘍の再発率は低かったという結論になっているとの事で、予後の悪い乳腺腫瘍でなければ避妊手術を同時に行う意義があるだろうとの話でした。
また、乳腺腫瘍の手術時に避妊手術を行わなかったケースで術後に子宮蓄膿症などの病気になる確率は10%弱という事でした。この数字を高いととるか低いととるかは考え方かもしれませんが、避妊手術(卵巣子宮全摘出術)がそれ程難しい手術でない事を考えると同時にする意義は十分あると思えました。
子供を作る予定のない犬・猫・ウサギさん達は不妊手術をするのが一番だと考えますが、もし手術していない場合でも、卵巣子宮疾患や乳腺腫瘍などになった場合は早急な不妊手術が大事なのではないかと思います。
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