症例のご紹介
2014年4月23日 水曜日
犬の膣平滑筋腫の1例(外陰部の巨大腫瘤)
今回は、先日手術した柴犬(未避妊雌)の外陰部(会陰部)の巨大腫瘤のご紹介をさせていただきます。
写真のように、肛門と外陰部にかけてがかなり腫大しており、排便障害が少し出たり、外陰部からオリモノが少し出ている状況でした。
術前検査を行なったところ、外尿道口(尿道開口部)よりも奥に巨大な腫瘤が見られ、細胞診検査では血液や炎症細胞のみで明らかな腫瘍細胞は採取されませんでした。腫瘤発生からの経過も長かった事などもあり、平滑筋腫や線維腫などの良性腫瘍を疑って摘出手術を検討しました。
会陰部切開にて腫瘤にアプローチを行ない、尿道を傷つけないようにカテーテルを設置した後に腫瘤の切除を行ないました。腫瘤は膣粘膜直下に存在し、周囲からたくさんの栄養血管が入り込んでいたので大変なところもありましたが、何とか無事に摘出する事ができました。
病理診断名は膣平滑筋腫で、同時に摘出した卵巣・子宮には腫瘍性病変は見つからず、卵巣嚢腫などの異常が少し見られました。
術後2週間の抜糸時には腫れもすっかり落ち着き、経過は良好な感じでした。
巨大な腫瘍を見るとあきらめたくなる気持ちもありますが、積極的にアプローチする事で治療が可能な病態も存在します。
様々な状況をしっかりと考えた上で、可能性にかけた積極的な治療を行なっていく事の大事さを感じる症例のご報告でした。
写真のように、肛門と外陰部にかけてがかなり腫大しており、排便障害が少し出たり、外陰部からオリモノが少し出ている状況でした。
術前検査を行なったところ、外尿道口(尿道開口部)よりも奥に巨大な腫瘤が見られ、細胞診検査では血液や炎症細胞のみで明らかな腫瘍細胞は採取されませんでした。腫瘤発生からの経過も長かった事などもあり、平滑筋腫や線維腫などの良性腫瘍を疑って摘出手術を検討しました。
会陰部切開にて腫瘤にアプローチを行ない、尿道を傷つけないようにカテーテルを設置した後に腫瘤の切除を行ないました。腫瘤は膣粘膜直下に存在し、周囲からたくさんの栄養血管が入り込んでいたので大変なところもありましたが、何とか無事に摘出する事ができました。
病理診断名は膣平滑筋腫で、同時に摘出した卵巣・子宮には腫瘍性病変は見つからず、卵巣嚢腫などの異常が少し見られました。
術後2週間の抜糸時には腫れもすっかり落ち着き、経過は良好な感じでした。
巨大な腫瘍を見るとあきらめたくなる気持ちもありますが、積極的にアプローチする事で治療が可能な病態も存在します。
様々な状況をしっかりと考えた上で、可能性にかけた積極的な治療を行なっていく事の大事さを感じる症例のご報告でした。
投稿者 西京極どうぶつ病院 | 記事URL
2014年4月14日 月曜日
膀胱結石の摘出手術。
先日、膀胱結石の摘出手術を行ないました。
大きな結石が1つだけだったので、比較的簡単な手術でした。
血尿や頻尿などの症状がそれ程ひどくなかったので内科治療(食事療法や投薬など)での反応を見ていましたが改善がみられず、最終的に開腹して膀胱切開を行ないました。
術後経過は順調で、数日で退院。分析結果はほとんどがストルバイトでした。
ストルバイトは食事療法で溶ける事も多い結石ですが、今回のケースはあまり溶けませんでした。結石が詰まって尿道閉塞を起こすリスクなども考えると、外科的に摘出する必要があったのかと思います。
食事内容や体質などによってこのような結石が発生するので、再発がないように注意深く経過観察をしていきたいと思います。
大きな結石が1つだけだったので、比較的簡単な手術でした。
血尿や頻尿などの症状がそれ程ひどくなかったので内科治療(食事療法や投薬など)での反応を見ていましたが改善がみられず、最終的に開腹して膀胱切開を行ないました。
術後経過は順調で、数日で退院。分析結果はほとんどがストルバイトでした。
ストルバイトは食事療法で溶ける事も多い結石ですが、今回のケースはあまり溶けませんでした。結石が詰まって尿道閉塞を起こすリスクなども考えると、外科的に摘出する必要があったのかと思います。
食事内容や体質などによってこのような結石が発生するので、再発がないように注意深く経過観察をしていきたいと思います。
投稿者 西京極どうぶつ病院 | 記事URL
2014年4月 5日 土曜日
脾臓腫瘤で手術した2例の小型犬の報告
最近の手術症例より、2例の脾臓腫瘤のご紹介をします。
いずれも小型犬の脾臓にできた腫瘍で、片方は腫瘍が破裂して腹腔内出血を起こし、失血性ショック(貧血)でグッタリして来院されました。
いずれも外科的に摘出して行なった病理検査の結果、片方は良性で、片方は悪性でした。
肉眼的には良性か悪性かは区別できませんし、レントゲンやエコー検査でも鑑別できません。
摘出した後に病理検査をして初めて診断がつきます。
良性だったら取らなくてもよいという考え方もありますが、良性腫瘍でも増大してしまうと破裂して腹腔内出血を起こす事があるため、定期的にエコー検査で増大しないかを調べていく必要があります。
悪性腫瘍が疑われる場合は、なるべく早期に摘出する事をお勧めしています。増大経過を見ている間に破裂したり、全身転移したら最悪なので、早期診断・早期治療が原則になると思っています。
血管肉腫や肥満細胞腫、リンパ腫、組織球肉腫のような悪性腫瘍だった場合、術後の抗がん剤治療を検討する必要もあります。
いずれも小型犬の脾臓にできた腫瘍で、片方は腫瘍が破裂して腹腔内出血を起こし、失血性ショック(貧血)でグッタリして来院されました。
いずれも外科的に摘出して行なった病理検査の結果、片方は良性で、片方は悪性でした。
肉眼的には良性か悪性かは区別できませんし、レントゲンやエコー検査でも鑑別できません。
摘出した後に病理検査をして初めて診断がつきます。
良性だったら取らなくてもよいという考え方もありますが、良性腫瘍でも増大してしまうと破裂して腹腔内出血を起こす事があるため、定期的にエコー検査で増大しないかを調べていく必要があります。
悪性腫瘍が疑われる場合は、なるべく早期に摘出する事をお勧めしています。増大経過を見ている間に破裂したり、全身転移したら最悪なので、早期診断・早期治療が原則になると思っています。
血管肉腫や肥満細胞腫、リンパ腫、組織球肉腫のような悪性腫瘍だった場合、術後の抗がん剤治療を検討する必要もあります。
投稿者 西京極どうぶつ病院 | 記事URL