症例のご紹介

2013年6月25日 火曜日

犬の乳腺腫瘍

最近、手術を行なった犬の乳腺腫瘍の中で、対照的な病態があったのでご紹介します。

1例はすごく初期に発見されたまだごく小さい限局性の乳腺腫瘍。
高齢であった事やすでに避妊手術を行われていた事もあり、局所麻酔のみで半導体レーザーを用いての手術で済ませました。周囲組織との固着も少なく、摘出は容易でした。
 

もう1例はかなり進行して表面が自壊してきた乳腺腫瘍。
もともとアレルギー性皮膚炎もあるため、かなり厳しいコンディションの中での手術となりました。
手術は何とか無事に終わりましたが、術後に少し傷口がジクジクしたり、病理組織検査結果も壊死がひどくて確定が難しいとの事。。。経過が要注意のケースです。


 



乳腺腫瘍は犬で本当に多い腫瘍で、2回目の発情がくるまでに避妊手術を行なう事で発生率がかなり下がるとされています。このような不幸な病気を減らすためにも、若いうちに避妊手術を行うというのが最善の方法だと思います。
また、もし様々な事情で避妊手術ができない場合、こまめに乳腺部の触診を行い(ご自宅で)、しこりを発見したら早期に動物病院に連れて行く事をお勧めします!!!

投稿者 西京極どうぶつ病院 | 記事URL

2013年6月 4日 火曜日

会陰ヘルニア整復手術

先日行なった未去勢雄に多い会陰ヘルニア整復手術のご報告です。
会陰ヘルニアは去勢をしていない中高齢の雄犬に多く発生する疾患で、雌犬や猫で発生する事はあまりありません。「ヘルニア」という名称から、よく椎間板ヘルニアと混同される方がおられますが、会陰ヘルニアはお尻の筋肉が緩んでウンチが出にくくなる病気です。ひどい場合は前立腺や膀胱までヘルニア部に脱出して排尿困難になる事もあるため、早急な手術が必要です。
予防には、若いうちに去勢手術をするのが最善で、特によく吠えて腹圧がかかる場合には強くお勧めしています。

今回の症例はM.ダックスフンドですが、ダックスやコーギーなどに発生すると再発率が高いという報告もあります。様々な術式が報告されていますが、この術式が絶対という方法はありません。

今回のケースは排便困難や血便を主訴に来院しました。便はまだ自分ででも少しずつできているとの事でした。写真のように、右の会陰部が腫大し、液体貯留が見られました。直腸検査にて、右会陰ヘルニアを触診、左は少し弛みがあるもののまだひどい状況ではありませんでした。
もともとの病変である右側会陰ヘルニアの整復手術を行ない、将来的な予防も含めて去勢手術や左側も同時に手術しました。
 

術後すぐは少し痛々しい状況ですが、
経過は順調でスムーズに排便ができるようになりました。
再発にはこれからも要注意ですが、
このまま無事に過ごしてくれればと思います。


このような病気の予防のためにも、
交配する予定のない雄犬は是非若いうちに去勢手術をお考え下さい。

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2013年5月25日 土曜日

帝王切開にて無事出産!

昨日の夕方、緊急帝王切開を行ないました。
朝から陣痛が始まっていたらしく、1匹目の子は詰まって亡くなってしまいました。
エコー検査にて確認したところ、もう1匹の子犬は胎仔心拍は低下して弱っているもののまだお腹の中で生きていました。
すぐに帝王切開を選択。

無事に出産できました!


新しい命の誕生のお手伝いができて、
獣医師冥利に尽きる瞬間です!

自然分娩がうまくできるのが一番だとは思いますが、今回のような難産にもうまく対応できるようこれからも努力したいと思います。

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2013年5月24日 金曜日

最近のレーザー症例

最近、皮膚腫瘍の局所麻酔下でのレーザー処置が増えてきています。
無症状の場合はあまり積極的に勧めていないのですが、動物自体が気にしてなめていたり、ぶつけたりして出血したりジクジクしたりしている場合には処置が必要になってきます。
また、手術不適応(進行した癌や全身状態が悪くて手術できない病態)のケースでも局所の緩和治療として行なう事が多い状況です。

使用しているのは飛鳥メディカルの反導体レーザー治療器

 

 
皮膚腫瘍を局所切除して病理検査に出す事も可能ですし、
蒸散してなくしてしまう事もできます。

色々な使い方のできる非常に有効な治療アイテムです!!!

処置後少しの間は気にして舐めたり掻いたりする事もありますが、多くの場合は数日程度で落ち着きます。
すべてのケースに適応とは言えませんが、治療手段のひとつとして今後も使っていきたいと思います。


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2013年5月13日 月曜日

猫の子宮蓄膿症

先日、猫の子宮蓄膿症の手術を行ないました。
数日前からの元気・食欲の低下が主訴で、今回のケースは閉鎖型という陰部から排膿のないケースだったため、飼主様の発見が遅れてしまっていました。
腹部触診で拡張した子宮らしき組織を触知し、レントゲン・エコー検査で診断を確定、血液検査上で手術リスクを十分評価した上で手術を実施しました。
手術は問題なく終了し、術後経過は良好でした。






今回のケースでひとつ問題になったのは、この猫ちゃんのおうちが多頭飼育だったため、この猫がこれまでに避妊手術している子かどうか、当初わからなかったということです。避妊手術済みの子の下腹部に腫瘤が触知されたとなると腹腔内腫瘍も考えないといけなくなるため、状況が全く異なりますからね。。

若いうちの不妊手術が大事だというのはこれまで同様大切な事ですが、各個体の健康管理の重要性を強く認識するケースでした。

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