症例のご紹介
2013年4月 7日 日曜日
毛玉による腸閉塞(犬なのに...)
先日、ちょっと珍しいタイプの腸閉塞が起こっていたので報告します。
症例はトイプードルで、よく床をなめたり、絨毯をなめたりなどをしていたそうです。今までは毛玉ができても吐き出したり、便に出ていたとの事でした。
前日からの頻回嘔吐を主訴に来院され、超音波検査で十二指腸部分の蛇行がみられました。バリウム造影を行なったところ、数時間経っても胃から十二指腸への流れがみられず、液体さえも流れ出ないような病変の存在が示唆されました。
開腹して手術を行なったところ、
胃〜十二指腸にかけて「大きな毛玉と糸状になった部分でつながった小さな毛玉」がみられ、胃切開にて両方を引き出す事ができました。
他に異常がないか腸管全域を観察しましたが、腸間膜リンパ節の腫大以外は問題ありませんでした。
術後も少し食欲不振や下痢などの消化器症状が続きましたが、内科治療で改善していきました。
今は元気いっぱいに美味しくご飯を食べてくれています!
長毛種の猫やウサギ、フェレットなどでは毛玉による腸閉塞をみた事はありましたが、犬でこのようなことが起こっているのは初めてみました。
以前、散歩中に食べていた草が絡まって腸閉塞になっていたケースの報告もしましたが、色々なもので詰まるんだなぁ〜って感じるケースでした。
症例はトイプードルで、よく床をなめたり、絨毯をなめたりなどをしていたそうです。今までは毛玉ができても吐き出したり、便に出ていたとの事でした。
前日からの頻回嘔吐を主訴に来院され、超音波検査で十二指腸部分の蛇行がみられました。バリウム造影を行なったところ、数時間経っても胃から十二指腸への流れがみられず、液体さえも流れ出ないような病変の存在が示唆されました。
開腹して手術を行なったところ、
胃〜十二指腸にかけて「大きな毛玉と糸状になった部分でつながった小さな毛玉」がみられ、胃切開にて両方を引き出す事ができました。
他に異常がないか腸管全域を観察しましたが、腸間膜リンパ節の腫大以外は問題ありませんでした。
術後も少し食欲不振や下痢などの消化器症状が続きましたが、内科治療で改善していきました。
今は元気いっぱいに美味しくご飯を食べてくれています!
長毛種の猫やウサギ、フェレットなどでは毛玉による腸閉塞をみた事はありましたが、犬でこのようなことが起こっているのは初めてみました。
以前、散歩中に食べていた草が絡まって腸閉塞になっていたケースの報告もしましたが、色々なもので詰まるんだなぁ〜って感じるケースでした。
投稿者 西京極どうぶつ病院 | 記事URL
2013年3月27日 水曜日
肺腫瘍の手術〜肺葉切除術〜
先日、肺葉切除術を行ないましたのでアップします。
咳を主訴に来院されたチワワさんで、原因を調べるためにレントゲンを撮ってみたら肺に異常な陰影がみられました。この子は心臓病で治療中のため、心臓の病態が悪化したのかと思っていましたが、原因はこの肺腫瘤の可能性が高いと思われました。
抗生剤・消炎剤などによる内科治療でも縮小傾向が見られないため、限局的な肺炎や肺膿瘍の可能性は否定的で肺がんの可能性が高いと考えて外科治療に踏み切りました。
手術は肋間開胸にてアプローチし、
右肺後葉の肺葉切除術を行ないました。
手術は大きな問題もなくスムーズに進行して無事終了。
術後経過も良好!!!
レントゲン(術前:矢印が腫瘤)(術後:なくなった肺の方に心臓が寄る)
術中写真
摘出した右肺後葉とその腫瘤
今回のように比較的早期に発見された単独の腫瘤の場合は手術適応になりますが、かなり進行した状況で発見された場合は手術が難しくなる事もあります。腫瘍は高齢の個体で起こってくる事が多いため、その子の全身状態が手術に耐えられるかどうかという判断も非常に大事になってきます。
人間の健康診断と同様に、動物でも定期的な胸部レントゲン撮影で肺や心臓の病気を早期発見できるようにしていく事が重要です。
咳を主訴に来院されたチワワさんで、原因を調べるためにレントゲンを撮ってみたら肺に異常な陰影がみられました。この子は心臓病で治療中のため、心臓の病態が悪化したのかと思っていましたが、原因はこの肺腫瘤の可能性が高いと思われました。
抗生剤・消炎剤などによる内科治療でも縮小傾向が見られないため、限局的な肺炎や肺膿瘍の可能性は否定的で肺がんの可能性が高いと考えて外科治療に踏み切りました。
手術は肋間開胸にてアプローチし、
右肺後葉の肺葉切除術を行ないました。
手術は大きな問題もなくスムーズに進行して無事終了。
術後経過も良好!!!
レントゲン(術前:矢印が腫瘤)(術後:なくなった肺の方に心臓が寄る)
術中写真
摘出した右肺後葉とその腫瘤
今回のように比較的早期に発見された単独の腫瘤の場合は手術適応になりますが、かなり進行した状況で発見された場合は手術が難しくなる事もあります。腫瘍は高齢の個体で起こってくる事が多いため、その子の全身状態が手術に耐えられるかどうかという判断も非常に大事になってきます。
人間の健康診断と同様に、動物でも定期的な胸部レントゲン撮影で肺や心臓の病気を早期発見できるようにしていく事が重要です。
投稿者 西京極どうぶつ病院 | 記事URL
2013年3月17日 日曜日
脾臓腫瘍と歯肉腫瘍と子宮蓄膿症と。。。
最近の手術からまた少しアップします。
より安全で手早い外科手術には術者の技術が必要なのは当然の事ですが、それ以外の大事な要素として手術機器というアイテムも必要だと思います。糸で結紮したり、ハサミで切るよりも出血が少なく安全に処置する事ができるためです。
脾臓腫瘍の手術にはサージレックスという血管シーリングシステム、
歯肉腫瘍には反導体レーザーが活躍して短時間での摘出が可能になりました。
また、子宮蓄膿症は避妊手術をされていない中高齢の雌犬で非常に多い病気で、プロジェステロンという黄体ホルモンが過剰に分泌されて起こっている事が多いとされています。
子宮蓄膿症の手術にも、血管シーリングシステムは非常に有効で、手術時間の短縮だけでなく、腹腔内に残る結紮糸(吸収糸)などの異物を少しでも少なくすることが可能になります。
医療同様、獣医療も日々進歩しているので、より安全でより確実な手術ができるようこれからも精進していきたいと思います。
より安全で手早い外科手術には術者の技術が必要なのは当然の事ですが、それ以外の大事な要素として手術機器というアイテムも必要だと思います。糸で結紮したり、ハサミで切るよりも出血が少なく安全に処置する事ができるためです。
脾臓腫瘍の手術にはサージレックスという血管シーリングシステム、
歯肉腫瘍には反導体レーザーが活躍して短時間での摘出が可能になりました。
また、子宮蓄膿症は避妊手術をされていない中高齢の雌犬で非常に多い病気で、プロジェステロンという黄体ホルモンが過剰に分泌されて起こっている事が多いとされています。
子宮蓄膿症の手術にも、血管シーリングシステムは非常に有効で、手術時間の短縮だけでなく、腹腔内に残る結紮糸(吸収糸)などの異物を少しでも少なくすることが可能になります。
医療同様、獣医療も日々進歩しているので、より安全でより確実な手術ができるようこれからも精進していきたいと思います。
投稿者 西京極どうぶつ病院 | 記事URL
2013年3月11日 月曜日
大阪府立大学で外科研修(見学)。
バタバタしていて更新が遅くなってしまいましたが、
先週の火曜日にお休みをいただいて大阪府立大学 獣医臨床センター 外科診療科の秋吉先生の手術を見学してきました。
肝臓腫瘍、胆嚢粘液嚢腫、肛門嚢腫瘍、鼠径ヘルニアの手術を見学し、色々と刺激を受けてきました。
特に肝臓腫瘍はこれまでに動脈塞栓術などの治療も行なってきたような進行症例だったので、当院のような一次診療の動物病院ではとても対応できるようなものではありませんでした。
手術の手技はもちろんの事、最新の手術設備、術中の麻酔管理、輸血や昇圧剤などの薬剤管理、助手や外回りのスタッフの的確な対応があってこそ成功した手術だったと思います。
また時間を作って、ハイレベルな手術に立ち会えればと思います。
先週の火曜日にお休みをいただいて大阪府立大学 獣医臨床センター 外科診療科の秋吉先生の手術を見学してきました。
肝臓腫瘍、胆嚢粘液嚢腫、肛門嚢腫瘍、鼠径ヘルニアの手術を見学し、色々と刺激を受けてきました。
特に肝臓腫瘍はこれまでに動脈塞栓術などの治療も行なってきたような進行症例だったので、当院のような一次診療の動物病院ではとても対応できるようなものではありませんでした。
手術の手技はもちろんの事、最新の手術設備、術中の麻酔管理、輸血や昇圧剤などの薬剤管理、助手や外回りのスタッフの的確な対応があってこそ成功した手術だったと思います。
また時間を作って、ハイレベルな手術に立ち会えればと思います。
投稿者 西京極どうぶつ病院 | 記事URL
2013年2月27日 水曜日
犬の子宮蓄膿症
先日、子宮蓄膿症の犬が来院しました。
数日前から、異常にお水を飲むようになり、前日から外陰部よりオリモノが出ているという主訴で、血液検査にて白血球やCRPというような炎症マーカーの上昇、超音波検査にて子宮の重度の拡張が見られました。
全身状態改善のために十分な補液(静脈点滴)を実施し、卵巣子宮摘出手術を行ないました。写真のように子宮は全体が腫脹し、一部で炎症によって大網と癒着しているところもありました。
子宮蓄膿症は中高齢の犬で発生しやすく、出産経験のない未避妊雌で多い疾患です。診断が遅れると腹膜炎や敗血症などによって亡くなるケースもあるため、早期診断・早期治療が大事です。
また、この病気を予防するためには避妊手術で卵巣・子宮を摘出する事が有効です。。。
また、この病気は犬だけでなく、猫やウサギ、ハムスターなどでも比較的よく見られます。ハムスターの避妊手術はあまり勧めていませんが、猫やウサギでは病気になる前の手術をご検討いただければと思います。
数日前から、異常にお水を飲むようになり、前日から外陰部よりオリモノが出ているという主訴で、血液検査にて白血球やCRPというような炎症マーカーの上昇、超音波検査にて子宮の重度の拡張が見られました。
全身状態改善のために十分な補液(静脈点滴)を実施し、卵巣子宮摘出手術を行ないました。写真のように子宮は全体が腫脹し、一部で炎症によって大網と癒着しているところもありました。
子宮蓄膿症は中高齢の犬で発生しやすく、出産経験のない未避妊雌で多い疾患です。診断が遅れると腹膜炎や敗血症などによって亡くなるケースもあるため、早期診断・早期治療が大事です。
また、この病気を予防するためには避妊手術で卵巣・子宮を摘出する事が有効です。。。
また、この病気は犬だけでなく、猫やウサギ、ハムスターなどでも比較的よく見られます。ハムスターの避妊手術はあまり勧めていませんが、猫やウサギでは病気になる前の手術をご検討いただければと思います。
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