症例のご紹介

2013年1月14日 月曜日

麻酔外科学会に参加してきました。

今回は病気のお話ではありませんが、外科に少しまつわるという部分でこちらに書かせていただきます。

この週末、福岡国際会議場で行なわれた獣医麻酔外科学会と獣医循環器学会の2012年秋期合同学会に参加してきました。九州に行くのは本当に久しぶりだったので、ちょっとワクワクした気持ちもありました(笑)


今回は症例検討会を中心に聴講してきたのですが、閉塞性黄疸の犬に胆汁外瘻を設置した症例、絞扼性腸閉塞の症例、尿道閉塞に尿道ステントを設置した症例などなど、興味深い症例がたくさんありました。また、講演の方では、「関節液検査」についての詳しい話や気管虚脱を中心とした咳の話、尿路結石や皮弁形成などの外科を聞きました


雨の降る中の帰り道、新しくキレイになった博多駅がとても美しく感じられました。
九州に行く機会はなかなかないのですが、博多までなら新幹線で3時間以内という比較的気軽な距離なので、また行く事ができればと思います。



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2013年1月 6日 日曜日

膀胱腫瘍の症例

少し前の症例ですが、
犬(ビーグル)の膀胱腫瘍(移行上皮癌)の外科手術症例をご紹介します。


膀胱腫瘍は犬では稀にみられる悪性腫瘍で、頻尿や血尿などを主訴に来院される事が多いのですが、診断時には進行している事も多い厄介なものです。
外科治療のみでは根治できない事も多いので、放射線療法や化学療法(抗がん剤)なども併用していきます。
診断は臨床上に加え、尿検査、超音波検査、細胞診検査、病理組織検査などで行なっていきます。



右図が超音波検査で確認した膀胱粘膜に隆起した腫瘍で、下図が手術中に膀胱を切開して粘膜面を確認したところです。
 



外科手術によって切除した腫瘍の病理組織検査結果が悪性だったため、術後からカルボプラチンを用いた抗がん剤治療を開始しました。

その後、局所再発はしてしまいましたが、比較的長期にわたって良好な生活を過ごす事ができました。

完治は難しい病気ですが、できるだけの治療はしてあげたいですよね。
頻尿や血尿の原因の多くは膀胱炎や膀胱結石によるものですが、膀胱腫瘍にも注意が必要です!

定期的な尿検査や超音波検査を含むような健康診断で早期診断に努めてもらいたいと思います。

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2012年12月30日 日曜日

内視鏡による異物除去(骨)

年末最後の仕事は内視鏡による異物除去でした。
テールスープに使う骨?をダックスが食べてしまったとの事で、
レントゲン検査にて見事に胃内に大きな骨が映っています。。。

このまま腸に流れていくと腸閉塞を起こす可能性があるため、
まずは催吐処置によってうまく嘔吐できないかを試みますが、
吐くのは胃液ばかりで骨は吐いてくれませんでした。

開腹手術は侵襲度も高いため、まずは内視鏡にて摘出を試みました。
その結果、うまく摘出できました!!!

レントゲン写真とは反対を向いてますが見事に同じ形です。

内視鏡でうまく摘出できなければ開腹しての摘出となり、
術後の入院も必要となってしまいます。
無事に取れて本当によかったです...。

ちょっとした油断で動物が異物を食べる可能性があるため、
皆さんくれぐれもご注意下さい!!!

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2012年12月22日 土曜日

胆嚢破裂(胆嚢粘液嚢腫)

先日、胆嚢破裂のワンちゃんの手術を行ないました。

急性の嘔吐、下痢で来院され、血液検査で急性の肝障害や黄疸、エコー検査にて胆嚢の不整と周囲の脂肪組織の高エコー化、腹水貯留などがみられました。
即日入院にて全身状態の改善を行い、翌日手術を行ないました。
手術内容は胆嚢切除と総胆管の洗浄、腹腔内洗浄や腹腔ドレナージでした。
写真は腹腔内より採取した腹水と胆嚢内容物です。胆嚢本体はかなり脆弱で、胆泥や胆石が充満し、炎症なども伴って破裂したものと思われました。
術後経過は今のところ良好ですが、まだまだ要注意!術後管理も大変な疾患なので、注意深く見守っていきます。



胆嚢疾患はしばしば遭遇される病気ですが、進行するとこのような病態が引き起こされる事があるので、定期的な検診や内科治療にて対応し、治療反応が悪い場合は破裂する前に胆嚢切除を行なう必要性があります。

これからも定期的に外科疾患についての情報発信をしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。


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2012年12月11日 火曜日

ようやく公開できたので...

今年に入ってからずっと企画していた外科手術にスポットをあてたホームページがようやく公開できました。
定期的に症例報告をしたり、少しずつ外科治療についての情報をアップしていきたいと思います。
犬・猫が中心になると思いますが、フェレットやウサギ、その他の小動物についても取り上げていきます。
興味のある事などがありましたらお問い合わせ下さい。できる範囲でその内容をピックアップしていきたいと思います!

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